Ai時代の日本を揺さぶる赤船(China+Innovation)= ”智能”ベーション

Ai時代の日本を揺さぶる赤船(China+Innovation)= ”智能”ベーション

世界を揺るがすチャイナ・イノベーション、"智能"ベーションは、現地起業家・VC・PE・投資家・インキュベータ―等密接なネットワークから得られる最先端の独自ソースを元に、AI、ビッグデータ、クラウド、IOT、自動運転、V2X、ニュー・リテール等、幕末日本を騒がせた黒船のごとく、AI時代の日本を騒がす赤船たちを、特に破壊的なものを中心にご紹介していきます。

【中国的AIとは何か?・その2】これからのAIと、それを受け止める中国のインフラ

(前回から続く)

前回の記事では、AIの3大要素(1. プログラム、2. データ、3. インフラやIoT端末)について見た上で、それらのどれが欠けてもAIにはならないということを見ました。 

chinnovation.hatenablog.com

 

これから、AIはどのようなデータを取り扱うことになるのか

AIはデータの種類や重さによって分類できます。具体的には、テキストデータ、音声データ、視覚データといったデータです。

 

最もデータ容量の小さいテキストデータ解析については、一世代前のデータマイニングという言葉と一部オーバーラップしていると言えます。テキストでいえば、入力や検索の際に出てくるレコメンド機能や、質問を答える案内ロボットなどもAIですが、そうした多くの解析元データはテキストレベルのものが多く、この記事を書いている段階では、日本ではこのAIがまだ主流のように思われます。

音声データ解析については、Siriやスマートスピーカー等が音声を解析し言葉を入力できるというものです。

視覚データ解析については、顔を認識する技術や、ポルノサイトをブロックしたりする技術があります。また動画の分野においては、モビリティの路面解析や、ニューリテールの動作認識があります。 

 

時代が進むに連れ、AIが処理するデータの量は文字通りケタ違いのものになっていきます。そして言うまでもなく、それらのデータを処理できるインフラやIoT端末が必要となります

そして、現在、最もそのインフラとIoT端末が揃っている国は中国ではないでしょうか。米国は5G回線の敷設費用が高く、5Gネットワークの敷設については中国に圧倒的な差を付けられています。またIoT端末の単価の低さと普及度をとっても、中国は極めて高水準にあるといえるでしょう。 

forbesjapan.com

wired.jp

 

AIは人間を目指さない。では、何を目指すのか

AIはArtificial Inteligenceの略で、これを日本語に訳すと「人工智能」です。つまり、人によって作り出された人為的な智能(Artificial Inteligence)という意味であり、よく映画に出てくるような人間っぽいロボット、人間の頭脳を模倣してつくる、人間的智能(Human Inteligence)とは異なります。この「人為的な智能」と「人間的智能」との違いは重要です。

 

これはシンプルですが重要なポイントです。そもそも、人間の得意なことと苦手なこと、機械の得意なことと苦手なことには、それぞれ違いがあるのです。

例えば「コップに水を注ぐ」といった簡単な作業は、人間には得意であっても、機械には極めて難易度が高いです。一方で、10万桁の計算などは普通の人間には絶対に無理ですが、ちょっとした計算機は簡単にこなしてしまいます。

 

そしてAIの本質とは、学習によって人間にも機械にもできなかったことができるようになり、人間の限界が突破される、というものです。

これらを考慮することでAIの目指すべきものが見えてきます。 

 

人間が苦手なもの、機械が苦手なものは、下図のようにひとまずは取りまとめることができるでしょう。

f:id:chinnovation:20180530141304p:plain

 

人間が得意だが機械が苦手なもの(例えば、コップに水を注ぐということ)は、機械は学習によって次第に克服し、マスターしています。トヨタの、バスケットボールをゴールに入れるようなプログラムなどがいい例です。

jp.reuters.com

 

機械がそもそも得意であった検索や膨大な量のデータの処理も同様に機械が学習するため、さらに進化していき、レジ打ちなど人間が行ってきた分野も機械が学習して代替していきます。

また、面接といった人間的なコミュニケーションは人間がやるべきことでしたが、一部AI化されてきています。志望動機、熱意、誠意などといった点は、人間的であればあるほど、逆に客観的に判断できず、AIを導入しているのかもしれません。これはある意味機械の苦手分野を逆手に取った例なのかもしれません。

www.nikkei.com

 

しかし、AIにもっとも期待される分野とは、このような「人間ができていたことを機械が代替する」という(人間がAIに仕事を奪われる的な)分野というよりも、むしろ人間の模倣を最初から目標に置いていない領域、つまり、これまで人間では行うことができず、また機械ですら不可能であった分野なのです。少なくとも、中国ではそのように考えられています。

 

例えば、4億5,000万人以上の利用者を2,100万台以上の車両とマッチさせ、毎日約2,500万件、年間約11億件もの最適な走行ルートを割り出し、到着時刻をも正確に把握する、といった、DiDi社がもつモビリティ配車AIシステムは、これまで機械では到底できなかったフロンティアを着実に開拓しています。
www.softbank.jp

このようなシステムを、DiDi社は、優秀なアルゴリズムだけでは達成できませんでした。DiDi社の2,000万台もの車両に取り付けられたIoT端末、高精度地図をつけた携帯端末を備えた"4億人のユーザー"としての巨大市場からもたらされるデータ、それらデータを蓄積するための巨大なクラウドを賄うサーバ、GPSや決済機能、といった生態系ともいえる中国の諸条件は中国でしか揃いません。どれが欠けても、機械の限界を超えていくことは難しいでしょう。

 

前回見た、AIの3大要素を思い出してください。1, プログラムだけではなく、2. データ、3. インフラやIoT端末がAIには必要なのです。このDiDi社のケースはその3要素が揃って初めてAIが成り立つということを如実に示しています。そして、この3要素を満たせる土壌があるのは中国だけではないでしょうか。

 

この中国という特殊な条件が揃った国の中で、アルゴリズムは学習をし続け、精度を高め続けています。つまり、中国という国の持つ特性こそが、機械の限界、ソフトウェアの限界を超えるイノベーションを生み出しているのです。そしてこれはそのままIoTでつながり、AIが駆使される都市=スマートシティに繋がる技術です。

こういったAIのイメージは、人間の代替品のイメージを遥かに超えています。

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中国的AIの正体

ここまで見てくると、もう明らかでしょう。

「中国的AI」とは、巨大インターネット人口とそれに付随する潤沢なビックデータ、政府によるインフラ投資・バックアップ、iPhone時代から培った低コスト×大量生産なIOT端末の製造メーカー群、民間による膨大な投資、米国帰りのトップエリートたちによるプログラム、これらの複合体なのです。

こうした官・民・資本一体の国家総動員的施策によって初めて、人間と機械の限界値は突破されていくと私は考えています。人間と機械の限界を突破する、ソフトウェアで終わらないAI、人の模倣で終わらない、世界創造的、社会創造的なAI、それこそが中国がいま実現しつつある、「中国的AI」なのです。

 

今後も本ブログは、このような「中国的AI」の実例を皆様にお伝えしていきます!

 

 

ー"智能"(チノ)ベーションについてー

"智能"ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

"智能"ベーションと有機的につながるためには、多くの壁があります。プレゼン・資料・チャット・グループなどはすべて中国語で、毎日情報が飛び交うため、英語や翻訳では到底間に合いません。言葉がわかったとしても、PE/VC/AIの知識、中国人起業家・投資家のコミュニティに溶け込むだけの高い経験値が必要になります。

執筆者略歴

 f:id:chinnovation:20180509173358p:plain  f:id:chinnovation:20180602125315p:plain

齋藤 誠一郎(さいとう せいいちろう)

大島 真一(おおしま しんいち)

2000年 東京大学経済学部在学中に起業、多くの日系企業の中国進出コンサルティングを行う。2005年 メディアコンテンツ関連のスタートアップ(株式会社星影通・CINETON 取締役、 34%株主)、2009年 香港金融グループ(肖建华)傘下台湾日盛証券(日盛金:5820)取締役などを経て、2014年、赛有限合伙 Seyh Limitedを設立。

上海在住(中国歴18年)

言語:日本語・中国語・英語

外資系証券会社、アドバイザリーファームを経て、2013年 株式会社ベストムーブを設立。企業買収・提携、資本政策、企業防衛等のアドバイザリーを行う。現在、中国スタートアップの魅力を日本に発信しつつ、資本提携・出資案件のソーシングに取り組んでいる。
東京大学経済学部卒業。

東京在住

言語:日本語・英語

これから2045年頃まで"智能"ベーションとお付き合いしていく覚悟です。ブログをご覧の皆さま、ご関心を持ってくだった方、どうぞお気軽にご連絡ください。 
f:id:chinnovation:20180511120147p:plain   Email : info (atマーク) chinoh.ai
f:id:chinnovation:20180511120140p:plain   Wechat : seisaito 
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【中国的AIとは何か?・その1】AIの3大要素と、中国的AI開発

AIによくある誤解:AI=頭脳、AI=プログラム、AI=ソフトウェア

AI、AIとばかり言っていると、だんだんその定義があやふやになってきます。なんでも気の利いた動きをする機械をみつけると、おっ、AIだ、みたいな・・・。みんなけっこういい加減に使っています。しかし、AIの定義とはなんなのでしょう?

AIが「頭脳」に類するものであるということは、おそらくすべての人の意見が一致するところでしょう。しかし、AIが「頭脳」というのは半分当たっていますが、半分でしかありません。AIは、「頭脳」だけでは成り立たないものなのです。

 

ではここで、AI技術を構成する3つの重要な構成要素を見てみましょう。

  1. プログラムそのもの(学習プログラム)
  2. データ(1. の"エサ"となるビックデータ、クラウド、学習データ)
  3. インフラやIoT端末(2.の採取源)

これらのどれが欠けても、今日のAIは成り立ちません。

 

上記に挙げた3大要素のうち、1. プログラムそのものは、まさに「頭脳」にあたるものでしょう。しかし、プログラム単体を「人工知能」と呼ぶことはありません。もしそうだとすると、例えば洗濯機に搭載されているプログラム、パソコンに入っているオセロゲームの対戦ソフトも人工知能になってしまいます。

 

AI=プログラム、AI=ソフトウェア、という印象を持っている人が多く、そしてそれは完全に間違っているわけではないのですが、今日の人工知能(1990年代から、2000年代のビッグデータ時代を経て開発されてきた人工知能)は、このプログラムそのものに加えて、「機械学習」そして「ディープラーニング」という機能を備えた学習プログラム/ソフトウェアのことを指します。

そして、この「機械学習」「ディープラーニング」に必要になるのが、2. データと、3. インフラやIoT端末なのです。

 

参考:中国において主流となるAI技術モジュール体系

 f:id:chinnovation:20180530135624p:plain

中国では、主に米国で開発された3つのアルゴリズム体系と、主に10のプログラム言語が使われており、これらを組み合わせて学習プログラムがあります。

3つのアルゴリズム体系:

  • 全连接网络(Full Connected Neural Networks, FCNN)全結合型
  • 循环神经网络(Recurrent Neural Networks RNNs)再帰型
  • 卷积神经网络(Convolutional Neural Networks, CNN)畳み込み型

10のプログラム言語:

TensorFlow / Lasagne / Theano / Caffe / Keras / MXNet / Torch / DMTK / CNTK / Neon

 

AIにはなぜ3大要素が必要か? 

人工知能は1. プログラムが基本となりますが、それが役に立つ「知能」になるためには、当然、学習をしなければなりません。どんなにIQの高い子供でも、机に向かって勉強しなければ絶対に試験には合格出来ないのと一緒です。つまり、2. データ(1. の"エサ"となるビックデータ、クラウド、学習データ)こそが、机に向かって取り組む「問題集」にあたるものです。人工知能は、データなしには成長できません。

そして、その学習は3. インフラやIoT端末(2.の採取源)、つまり高速処理チップや大容量の通信網、クラウドを支えるデータハウス、データそのものを採取するハード面なしには行うことができません。なぜなら、2. データ=問題集は、刻一刻と更新され、それも取り込んでいかなければ、真の知能とは呼べないためです。(IoT端末にはもうひとつ制御というアウトプット機能もありますがこれは後述します。)最も身近な人工知能であるiPhoneのSiri(またはOK Googleでも、Alexaでも)が、インターネットに接続していない環境では作動しないのも、これが理由です。

もしIoTがなければユーザーからみてSiriが使えないだけではありません。Siriはユーザーからの情報を得ることができずに思考できないばかりか、交信を通じた新たな学習データをクラウドに蓄積できず、進化することができないのです。IoTのないAIは、即座に思考停止・学習停止に陥るわけです。

 

つまり、3. インフラやIoT端末が採取した2. データを学習する1.プログラムの総称が、AI技術なのです。

3. インフラやIoT端末がなければ、AIの判断をハードに反映することもできませんし、反映したPDCAの結果を更に反映して2. データを蓄積することもできず、AIとして成長ができません。

この1〜3は、常にセットです。AI技術は、プログラムそのものでは成り立たない、インフラやハードとの混合体なのです。質の良いデータ、そのデータを蓄積するスピードの速いクラウド、高性能のチップ、感知機や制御器としてのIoT端末などがなければ、いくらプログラムが優秀でも、絵に書いた餅であり、成り立ちません。

 

ここまではAIの基本的な知識のおさらいになりましたが、中国的AI――官・民・資本が一体となり社会的インフラとしてAIを受け止める土壌から生まれる、進化し続けるAI――の特質については、次回述べたいと思います。

 

(次回に続きます。)

chinnovation.hatenablog.com

 

 

ー"智能"(チノ)ベーションについてー

"智能"ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

"智能"ベーションと有機的につながるためには、多くの壁があります。プレゼン・資料・チャット・グループなどはすべて中国語で、毎日情報が飛び交うため、英語や翻訳では到底間に合いません。言葉がわかったとしても、PE/VC/AIの知識、中国人起業家・投資家のコミュニティに溶け込むだけの高い経験値が必要になります。

執筆者略歴

 f:id:chinnovation:20180509173358p:plain  f:id:chinnovation:20180602125315p:plain

齋藤 誠一郎(さいとう せいいちろう)

大島 真一(おおしま しんいち)

2000年 東京大学経済学部在学中に起業、多くの日系企業の中国進出コンサルティングを行う。2005年 メディアコンテンツ関連のスタートアップ(株式会社星影通・CINETON 取締役、 34%株主)、2009年 香港金融グループ(肖建华)傘下台湾日盛証券(日盛金:5820)取締役などを経て、2014年、赛有限合伙 Seyh Limitedを設立。

上海在住(中国歴18年)

言語:日本語・中国語・英語

外資系証券会社、アドバイザリーファームを経て、2013年 株式会社ベストムーブを設立。企業買収・提携、資本政策、企業防衛等のアドバイザリーを行う。現在、中国スタートアップの魅力を日本に発信しつつ、資本提携・出資案件のソーシングに取り組んでいる。
東京大学経済学部卒業。

東京在住

言語:日本語・英語

これから2045年頃まで"智能"ベーションとお付き合いしていく覚悟です。ブログをご覧の皆さま、ご関心を持ってくだった方、どうぞお気軽にご連絡ください。 
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【AIx巨大市場】中国企業は「中国企業」ではなく「"米中"企業」である

シリコンバレーのDNA + 巨大市場という"最適解"、
進化する"米中"企業

近年の中国企業は、実は「中国企業にして中国企業に非ず」と言えるのではないかと、最近考えています。

この20年あまりの中国企業の歴史を振り返ると、中国企業は、米国西海岸と密接に連携したワールド・イノベーターという側面があるのではないでしょうか。

この”米中”的な中国企業の歴史は、

  1. ナイキのAirMaxに代表される労働輸出時代
  2. 世界の工場へ脱皮したiPhone時代
  3. 海外技術の何をM&Aしても回収可能といえるほど巨大内需が伸びている時代(最近)
  4. これからの国策により創出されるAI時代

と順を追って進化してきたと考えられます。 

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※ 上図の「<」は、中国企業の”米中”ボーダレスの度合を指す

 

現在の中国企業を形容するならば、「米国のDNAを持ち、さらにそれを中国という巨大市場、資本、人財によってレバレッジをかける巨大な存在」といえるでしょう。これが日本勢が相手にしなければならないプレーヤーの正体なのです。

 

それでは、以下、中国企業の歩みを順を追って見ていきたいと思います。

 

第1ステージ:労働力をベースにした輸出モデル
(1995年~2005年頃。輸出がメイン)

このころの中国企業は、安い労働力を求めて外資が中国に工場を作り、中国の労働者が手作業などを分担していました。

ナイキのシューズというと米国のブランドですが、中身は全部中国で作っていました。中国に工場がいくつもあり、2ドルのシューズのうちたった2セントのみが中国に支払われるのだ、という朱镕基(清華大学→MIT出身の中国国家主席)の演説は有名です。

ナイキのシューズは、当時、同じものが安い値段で大量に出回り、コピー製品と言われていましたが、実はこれは、工場の受注者がオーダーよりもちょっと多めに作り、流出した製品を安い値段で別に市場に売る、ということで儲けていたのです。

さて問題です。果たして、このナイキのシューズの本物と偽物の違いは一体何なのでしょうか?

答え。品質はまったく同じです。米国企業のリテール店舗で売られているか、いないか、その違いしかないと言えるでしょう。

米中企業のボーダレス化はこの時代から始まりました。

 f:id:chinnovation:20180521201959p:plain

 

第2ステージ:電子サプライヤ群の世界集結
(05年~15年。内需+輸出)

お手持ちのiPhoneやiPadをひっくり返してみてください。裏に"Designed by California Assembled in China"とありますね。国際分業がしっかりと現れています。これは前述の「ナイキのシューズ」が少し進化したものだと言ってもいいでしょう。

www.engadget.com

 

iPhoneは、世界中の優秀な電子部品・サプライヤがすべて中国で取りまとめられ集結した製品です。

gigazine.net

ただし、当時、部品のほとんどは海外のもので、中国製のものはほとんどありませんでした。

さて、ふたたび問題です。iPhoneは中国製でしょうか? それとも米国製でしょうか? 

答えは、どちらでもありません。米中が中心となって協業した世界のCo-Brandと言えそうです。

 

第3ステージ:CBO(チャイナ・バイアウト)時代
(2010年〜現在。内需パワーをテコにした成長)

この時代から、労働力で外貨を稼ぎ肥大化した中国国内の市場がモノをいい始めます。あるイノベーションが起こったとき、どこでその製品を売りますか? どこで株式価値の最大化を図りますか?

米国と日本を足した台数のさらに1.3倍という中国の自動車市場を見れば、最高の技術を買い占めて最大の市場とくっつけるというグローバル・プレーの最適解は誰の目にも明らかです。それが"CBO(チャイナ・バイアウト)”の考えです。

特に世界的にマネーサプライが急増した金融危機以降2010年ごろから、どんな高値でも採算がとれるM&Aブームが到来しました。国内消費市場が外にまで拡大し、日本での"爆買い"が行われ始めたのは2014〜15年頃からでしょうか。 

 

先ほどのスマートフォンを見てみましょう。当初、日本の部品がほとんどであったはずのiPhoneですが、これが2017年になると、アップルサプライヤーとして掲載された269社中、台湾企業は71社、米国企業は60社、日本企業は20%未満、たったの55社です。

www.nikkei.com

apple.srad.jp

 

時間が経つとコピーされたり、中国資本に買収されたり、人や機械や資本が現地で徐々に入れ替わって中国化する動きが着々と進み、現在では、Huawei、Oppo、VivoそしてXiaominなどアップルのDNAをもった中国メーカーがアップルを追い上げています。

www.counterpointresearch.com

 

この変化の背景には、伸び続ける中国市場から来る大きなオーダーに部品サプライヤが逆らえず、アップルやサムソンから中国系に乗り換えざるを得なかったり、CBO買収金額の誘惑に逆らえない、という理由があると思われます。

GoogleやFacebookのような世界トップ企業でさえ中国には入れない。このルールをよく理解する米系企業は、フェアプレーでないといって警戒する日本と対照的に、資本でも中国と手を組み始めました。そして、中国企業はそのことを理由にして米系のスタートアップに投資し、米国企業の所有者になってゆきました。

例えば、テスラにテンセントが出資したことによって、中国市場にテスラが入ることができました。

また、以前、中国のスクーターメーカーのNinebotは、セグウェイの技術を中国で特許侵害していると訴訟を受けていました。訴訟が進むうちに、中国はファンドを通じてセグウェイ自体を買収し、被告側と原告側を統合することで問題を解決する、という驚くべき解決を行いました。

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こういった中国資本によるM&Aの動きの裏には、中国に身売りすることで中国市場も手に入る、という構造があります。例えば、私の友人が中国のある資本グループに属しているのですが、米国NasdaqのAI関連の上場企業を買収しました。もちろん、米国企業側にとっては中国資本化することで中国進出を果たせる、という思惑があるわけです。

さて、みたび問題です。中国企業に買収されたAIの会社やセグウェイは中国企業でしょうか? 米国企業でしょうか? 

答えは、どちらでもあります。国境のないマインドが生んだ米国DNA+中国市場、という、ある意味最強のグローバル企業なのです。

 

第4ステージ:AI・モビリティ・IoT時代
(2018年〜今から5年後を含む未来。インフラ優位時代)

第1ステージで労働力と輸出という形で世界デビューし、第2ステージで工場サプライヤ群の拡充、第3ステージで内需の成長というドライブ・フォースが加わった中国企業。現在進行中の第4ステージでは、国策によるAI/EA/インフラ優位という時代に突入します。

テスラのイーロン・マスクがEVの製造で困難に直面した理由は、少ない販売台数のなかで全ての部品需要の十分なボリュームを確保しきれず、サプライチェーン全体のスケールアップができなかったためです。

time.com

中国が、これを国策で解決しました。軍事関連需要や強力なEV国策により後押しされたことにより、中国の工業サプライヤは、米国ベンチャーが手放せない存在になっているばかりか、国内で自らの手による中国EVカーをいくつも生み出すまでになりました。

規模の経済があることで、生産が自動化し、製品コストが下がり、サプライチェーンが実現する。こうした膨大なEV市場創出の国策がなければ、少量生産という製造のデスバレーに陥ったまま、テスラでさえ育たなかったかもしれません。

いま、EVメーカーが頼っているサプライヤは愛知県にあるのでしょうか? 違います。もうお分かりかと思いますが、それはナイキやiPhoneのDNAを持った、中国の電子サプライヤーたちです。

これは同時に国内消費市場の刺激(公共政策的効果)でもあります。V2Xインフラなど国家需要によってバラマキをすると同時に、産業を育てるのです。シューズだけでなく、世界中の携帯電話の部品、パソコンの部品、家電、世界の工場とまで言われるようになった中国のサプライヤは力を付け、多くのEV製品の供給者、AIのIoTサプライヤになろうとしています。

こうした豊富なサプライヤ環境、巨大市場、優位な政策と5G V2Xといった未来インフラが整うことで、AI・EV・モビリティ開発の格好の条件が揃うわけです。 

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一方、米国は?

さて、ここまで中国企業というものがどのようにその形を変えてきたかという流れを見てきました。

一方で、米国の現状を見てみましょう。

www.sankei.com

wired.jp

中国市場にある、安くて幅広いサプライヤー、巨大市場の魅力、最新のインフラの、いずれも米国市場にはないでしょう。あるのは基礎的技術のみです。

AIは、人工知能ですから学習をしなければなりません。アプリケーション・レベル、ビジネスレベルで社会に実装され、得た情報をフィードバックして再学習するサイクルがなければ、机上のプログラムで終わります。

つまり、AIビジネスに本当に必要なのは、天才エンジニアに加え、エンド(伝統経済における実体プレーヤー)、IoT化を実現するハードウェアサプライヤ、国家インフラ、ビッグデータ(膨大な数のインターネット人口)なのです。それがどこにあるのか・・・。ここまで読んできた読者の皆さんにはもう明らかなことでしょう。

 

これから何が起こるのか。ナイキの時代には想像もできなかった大きな逆流が始まろうとしています。 強い政策リーダーシップとシリコンバレーのDNAをふんだんに持ち帰ったスタートアッププレーヤーが、拠点をシリコンバレーと中国の2か所に移さざるを得ないのです。こうしたスタートアップが次々に集結する中国は、世界で最初かつ最大のEVのメッカになろうとしているのです。

今後、日本企業が優れたスタートアップを探そうと米国に行っても基礎技術しか見つけられないでしょう。逆に、中国には国家レベルの社会インフラのなかで実装されたリアリティあるAIがあります。米国のDNAが、米国本土よりも豊かな土壌に育っているのです。

 

今後、ビジネスを輸入する元は、シリコンバレーより中国になるのかもしれません。 

 

 

 

ー"智能"(チノ)ベーションについてー

"智能"ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

"智能"ベーションと有機的につながるためには、多くの壁があります。プレゼン・資料・チャット・グループなどはすべて中国語で、毎日情報が飛び交うため、英語や翻訳では到底間に合いません。言葉がわかったとしても、PE/VC/AIの知識、中国人起業家・投資家のコミュニティに溶け込むだけの高い経験値が必要になります。

 

執筆者略歴

 f:id:chinnovation:20180509173358p:plain  f:id:chinnovation:20180602125315p:plain

齋藤 誠一郎(さいとう せいいちろう)

大島 真一(おおしま しんいち)

2000年 東京大学経済学部在学中に起業、多くの日系企業の中国進出コンサルティングを行う。2005年 メディアコンテンツ関連のスタートアップ(株式会社星影通・CINETON 取締役、 34%株主)、2009年 香港金融グループ(肖建华)傘下台湾日盛証券(日盛金:5820)取締役などを経て、2014年、赛有限合伙 Seyh Limitedを設立。

上海在住(中国歴18年)

言語:日本語・中国語・英語

外資系証券会社、アドバイザリーファームを経て、2013年 株式会社ベストムーブを設立。企業買収・提携、資本政策、企業防衛等のアドバイザリーを行う。現在、中国スタートアップの魅力を日本に発信しつつ、資本提携・出資案件のソーシングに取り組んでいる。
東京大学経済学部卒業。

東京在住

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これから2045年頃まで"智能"ベーションとお付き合いしていく覚悟です。ブログをご覧の皆さま、ご関心を持ってくだった方、どうぞお気軽にご連絡ください。 
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【中国最新AI事情】「中国嫌い」なアナタのための中国AI入門

赤船襲来! あなたは攘夷派? それとも開国派?

f:id:chinnovation:20180519210521p:plain

あなたは、「中国は嫌いだ」、「中国は苦手だ」、「中国人は上から目線」、そんな思いを抱えつつも、中国のAIベンチャーについて調べてこいと言われ、しぶしぶこのページを開いているのかもしれません。

「グローバル戦略で中国のプライオリティなんて低いでしょ?」というあなたに、中国でいま、何が起こっているのかを知ってもらうべく、上海よりこの記事を書きます。 

 f:id:chinnovation:20180519210818p:plain

 

例えば、以下のことをご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?

 

市場
中国には「石油ゼロ」の政策があり、自動車をEVに転換しなければ、世界最大の自動車市場である中国市場で売上がゼロになります。

日本ではEVへの対応が遅れているのとは対照的に、中国ではEV対応の体制を整えなければいけません。

昨日、トヨタが10%合弁を通じて中国EV市場に参入という報道がありましたが、これはまだ入口でいずれ100%の締め出しを食らいます、政策に押されて、やむなく対応しているわけです。

jp.reuters.com

 

政府
自動運転には政府の存在が欠かせません。

上海では5G(超高速の次世代移動通信、4Gの100倍〜1,000倍の通信速度とデータ転送速度)の地区が整備されつつあり、社会インフラとしてのV2X*対応エリアがもうすぐ実現しそうです。

* V2X=Viecle to Everything  自動車と自動車、道路、クラウドがつながる(コネクテッド)情報や技術の総称。 

www.nikkei.com

chinnovation.hatenablog.com


資本

中国のAI関連のスタートアップの資金調達額は、2017年に、米国を抜いて初めて世界一になりました。

www.nikkei.com

スタートアップ企業といっても、2年未満で人民元や米ドルで1,000億円超(日本円換算)を調達する企業がぞろぞろあります。

中国最大の配車サービス企業であるDiDi(滴滴出行)社は、未上場でありながらバリュエーションは楽天の時価総額の約5倍、約6兆円です。

成熟企業でみても、中国を代表するネット関連企業であるテンセントの時価総額はFacebookよりも大きく、日本円で50兆円以上(トヨタの約2倍、ソフトバンクの5倍)です。

テンセントは、中国企業かとお思いでしょうが、テスラの株主でもあります。もちろん、多くの日本の上場企業よりはるかに潤沢な資金を持っており、自動運転やリテールをはじめとする、全分野へのAI参入を進めています。

www.bloomberg.co.jp

chinnovation.hatenablog.com

 

企業
中国企業といっても、AIのスタートアップに関しては皆さんがイメージするよりずっと欧米に近い側面があり、一般的な中国企業とはかなり違います。

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大前研一さんが十年以上前から指摘しているように、中国人でありながらも米国の修士・博士・教授、特許保有者、米国で起業した起業家が2000年くらいから多くなっており、また、米国企業を出資・買収し株主となった中国のPE・VC・スタートアップも多いです。

ワールドカップのブラジル以外のチームにやたらブラジル人が多い?のと同じで、もう中国と米国とを分けることにあまり意味はないのかもしれません。

よく、中国は米国の技術をパクっている、などと言われますが、わが国も明治維新で米英独に留学し、戦後は米国のシェアを奪うような自動車を作り上げていました。孫正義さんも「タイムマシーン経営」でシリコンバレーのモデルを日本に持ち帰り、いまでもグーグルやアップルを日本から100社つくると盛り上げています。

ある意味、日本と中国は、ともに米国から学び超越しようとしている良きライバルなのかもしれません。

その彼ら(中国の人材と企業)が、"米国よりよい環境"で、中国本土でスタートアップを行っています。"米国よりよい環境"というのは、"米国も参入したいほどの大きな市場"と"日本がうらやむ強いリーダーシップある政府"です。 

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このようにつぶさに見ていくと、中国でのスピード感、スケール感、技術力は、現時点では、日本のそれをはるかに凌駕しているのではないか、というのが、私の偽らざる感想です。

 

では、そんな中国とどう戦い、競っていくのか?

それは、問いからして、そもそも間違っているのかもしれません。

 競争するより、協力する道もあるのではないでしょうか。

 

「でも中国は独自のルールがあるから、やってもしょうがない。まともにやって、付き合える相手じゃないし……」とおっしゃる方もいるでしょう。

中国はフェアな市場ではないため、どんなに努力してもまともに商売できる土俵にない、だから切り捨ててしまえ、という気持ちは、とても理解できます。

それはそれでいいと思います、しかし、それはグローバル・プレーヤーへの道を閉ざすことになってしまうのではないかと私は危惧しています。

 

日本やアメリカ以上に商慣行上の"意地悪"が多い中国で勝利を収めたユニクロは、真にグローバルですし、すごいことだと思います。

しかし、日本企業の中国市場での本当の戦いはこれからだと思います。それが間もなく始まる、AIの波による再編の戦いです。これは、ユニクロであろうと、例外ではありません。

 

中国系リテール企業にはすでに決済にAIが実装されて激しい競争が繰り広げられているというのに、中国に進出した日系リテール企業(ユニクロ・ローソン・ニトリ・AEON・高島屋など)の店舗はいまだに全てレジを使っています。

理由は簡単、本国の日本ではまだこれからだから! したがって、日系リテール企業は、このような日本以上に進化した市場に、無防備のまま参戦できずにいます。

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また、モビリティ市場を見てみましょう。中国の自動車販売台数は年2,800万台です。これは、日本と米国を足した台数の1.3倍という、ものすごい台数です。

日本車がもし中国市場で劣勢となれば、どうなるのでしょう? 極めて急速なスピードで進化する中国のEVカーに、トヨタ、ホンダ、日産、日系ブランドが対抗しなければなりません。(中国のEVカーは、テスラとは異次元のレベルです。もっとも、テンセントはテスラの株主でもあり、中国系ともいえますが。)

日本は法規制がまだ先なので、自動運転もLV2-3程度です。一方、中国では、法規制どころか、5Gで地下を掘りV2Xのインフラ整備を始めています。日本以上にAI化した自動車と、外地で戦わなければならないのです。

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また、その自動車部品や頭脳となるAIは、日本製だけでは解決しません。例えば、これからのモビリティは音声出入力でなければ制御できません。中国市場であれば、現地語音声AIも必要で、日本のサプライヤでは無理です。

日本の自動車メーカーは、どの中国AI企業=Chinnovationと提携すればよいのでしょうか? 2,800万台の市場に、現行のカーナビのままで挑むわけにはいきません。

 

そして、カーナビどころかスピードメーターでさえ全部HUD(ヘッドアップディスプレイ)になり、多くの部品やサプライヤがものすごいスピードで日々進化しながら、大編成となります。それに、どう対応するのでしょうか? 

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そしてもうひとつ忘れていけないことは、中国企業は中国市場でなく、世界市場で争う相手になるということです。

日本企業がガラパゴスを決め込んで、日本市場から締め出す、本土決戦で侵入を防ぐ、なんてことはできるかもしれません。しかし、アフリカ、東南アジア、ブラジル、中央アジア、ヨーロッパ……の市場ではどうするのでしょう?

 

 youtu.be

コンセプトでも世界初のモーバイクは未上場企業でありながら6億ドル調達し、ロンドン、ローマ、日本ではLineと組み一気に世界進出しました。

 

中国国内では世界最大級のビッグデータが加速度的に成長し、アプリケーション段階のAIが日々学習・実装されています。

 

youtu.be

すでに中国進出した日本企業(製品)は、現地でAI武装する必要はないのでしょうか? 海外市場の日本企業(製品)は、グローバル進出する中国企業とAI丸腰のまま戦うのでしょうか?

グローバル戦略のなかで、日本のサービス・製品が中国AIに遅れをとれば、中国市場を失うどころか、世界市場で劣勢になるのは火を見るより明らかです。

 

中国が、AI・モビリティにおいて世界で最もハイレベルな技術開発が行われているだけでなく、“最初”の激戦地だという事実、そして、中国市場のみならず、日系企業はグローバル市場で彼らとAI戦争しなければならないという事実。

グローバル戦略において中国AIを置きざりにできない最大の理由はここにあります。

したがって、競争するならするで敵をよく知る必要があるし、協力するならするで相手とよく馴染む必要があります。 

 

最後に。私は、あなたに、できれば中国を敵などと考えずに、手を取り合ってほしい。民間だけでなく行政・政府も含め、もっといい世界を作る"仲間"として見てほしいと思います。

 

孫正義さんはアリババの創業期に同社に出資をし、イギリスのARM買収の際も380億ドルのうち200億ドルをこのアリババ株式による融資で調達していますし、中国の最新スタートアップにも出資し続けています。さらに、UBERに出資しつつも日本ではDiDiをJVパートナーに選んでいます。彼にはおそらく偏見やバイアスはないのだと思います。

 

中国AIの優秀なエンジニアは、日本と同じく、世界人類のアップグレードをする、という目線の起業家がほとんどです。仲良くなれないわけがありません。

 

これからも、本ブログでは中国の最新AI事情をお伝えしていきます!

 

 

 

 

 

 

 

ー"智能"(チノ)ベーションについてー

"智能"ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

"智能"ベーションと有機的につながるためには、多くの壁があります。プレゼン・資料・チャット・グループなどはすべて中国語で、毎日情報が飛び交うため、英語や翻訳では到底間に合いません。言葉がわかったとしても、PE/VC/AIの知識、中国人起業家・投資家のコミュニティに溶け込むだけの高い経験値が必要になります。

執筆者略歴

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齋藤 誠一郎(さいとう せいいちろう)

大島 真一(おおしま しんいち)

2000年 東京大学経済学部在学中に起業、多くの日系企業の中国進出コンサルティングを行う。2005年 メディアコンテンツ関連のスタートアップ(株式会社星影通・CINETON 取締役、 34%株主)、2009年 香港金融グループ(肖建华)傘下台湾日盛証券(日盛金:5820)取締役などを経て、2014年、赛有限合伙 Seyh Limitedを設立。

上海在住(中国歴18年)

言語:日本語・中国語・英語

外資系証券会社、アドバイザリーファームを経て、2013年 株式会社ベストムーブを設立。企業買収・提携、資本政策、企業防衛等のアドバイザリーを行う。現在、中国スタートアップの魅力を日本に発信しつつ、資本提携・出資案件のソーシングに取り組んでいる。
東京大学経済学部卒業。

東京在住

言語:日本語・英語

これから2045年頃まで"智能"ベーションとお付き合いしていく覚悟です。ブログをご覧の皆さま、ご関心を持ってくだった方、どうぞお気軽にご連絡ください。 
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【スマート・トラフィック】 100億元スタートアップ・イーロン・マスク(Elon Musk)を超える中国・スマートシティ構想

中国の目指す6つの"0"、そのひとつは「渋滞」だ。中国では車両のうち半分は渋滞か車庫にあるというほど、渋滞が資源を消耗させている。

V2Xが実現すると、車と車、車と道路、車とクラウドがそれぞれ瞬時に交信しつづけ、信号機が不要となる。

 

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もうひとつの"0"は「事故ゼロ」だ。

事故ゼロを実現するために、中国では、歩行者と自動車(自動運転EV)とを完全に分け、自動運転公共EV専用に地下を掘り、インフラレベルで無事故を実現しようとしている。 つまり、地下鉄と人がぶつからないのと同じように、自動車専用道路をつくるのだ。

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電車は監視ルームでモニター・コントロールされながら走るが、2045年の中国EVは、まるでDiDi(UBER)と地下鉄、バス・タクシーが一体化したような自動運転AI・スマートシティを走る。

EVは、まるで高速道路のような道を交差点で減速すらせずにシグナル・フリー(信号機なし)で走り、自由に目的地までたどり着くことができる。

 

なぜ、人間とEVを分けるのか。それは、認知のインターフェースの違いだ。信号は人間が見るものであり、機械は見る必要がないからだ。 違いを比較すると、こういうことになる。

信号の発想:
機械のサイン(信号青・赤)⇒人の判断⇒機械への指示(自動車の運転・アクセル・ブレーキ) 

智能交通・V2Xの発想:
機械の判断(クラウドのAI判断) ⇔通信⇔ 機械の判断(自動車のローカルAI判断) ⇒機械の制御(自動車の運転・アクセル・ブレーキ)

 

この構想は、日経新聞の1面トップでも報じられている。

www.nikkei.com

中国は、瀋陽の雄安地区の他に上海でも5G地区を建設しており、自動運転試験区としての利用を進める計画がある。

 

関連記事:

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ー”智能”(チノ)ベーションについてー

“智能”ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

 

”智能”ベーションと”有機的”につながるためには、多くの壁があります。プレゼン・資料・チャット・グループなどはすべて中国語で、毎日情報が飛び交うため、英語や翻訳では到底間に合いません。言葉がわかったとしても、PE/VC/AIの知識、中国人起業家・投資家のコミュニティに溶け込むだけの高い経験値が必要になります。

 

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齋藤誠一郎(さいとう せいいちろう)1976年生まれ 2000年 東京大学経済学部在学中に起業、多くの日系企業の中国進出コンサルティングを行う。2005年 メディアコンテンツ関連のスタートアップ(株式会社星影通・CINETON)取締役・ 34%株主)、2009年、香港金融グループ(肖建华)傘下台湾日盛証券(日盛金:5820)取締役などを経て、2014年、赛有限合伙SeyhLimitedを設立、中国歴18年、上海在住。英語・中国語・日本語。 (これから2045年頃まで”智能”ベーションとお付き合いしていく覚悟です、ブログをご覧の皆さま、ご関心を持ってくだった方、どうぞお気軽にご連絡ください。)

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【自動運転AIとV2Xの関係】しのぎを削るべきはメーカーではなく国家同士?!

自動運転、5つのレイヤー:感知⇒認知⇒判断⇒制御⇒駆動 V2X無くして完全な認知・判断(自動運転AI)は成り立たない! 

 

インフラV2Xは自動運転に密接な役割を負っている。

以下、著名コンサルタントの図を借用して説明する。

 

自動運転AI・著名コンサルタントY氏によれば、自動運転は5つのレイヤーからなる。

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(出典:著名コンサルタント由氏・张氏による)  

① 感知器レイヤー 

視覚カメラAI、LAIDAR・AI、GPSマップ、車体状態感知センサーなどのデータを収集する感知レイヤー

② 認知レイヤー

認知レイヤーでは、車体に搭載されたセンサーから得られたローカル(オフライン)のアプローチと、であり、クラウドのアプローチ(オンライン)がある。

さらに、そのローカル(オフライン)では、各種センサーから得たデータをその瞬間のスタティック(静態)で分析するだけでなく、ダイナミック(動態)でも分析する。

ダイナミック(動態)では、スタティック(静態)情報をヒストリカルに前後に連ね、重ね合わせた中で整合・分析する。そして、センサーによって収集されたデータは、オンライン(クラウド)と通信し、上記ローカルの分析と統合される。

例えば、視覚カメラAIやLAIDARなどセンサーがとらえた周囲の信号や道路の情報と、クラウド地図データにある信号や道路の位置との整性や、センサーが捉えた周囲の車の位置とクラウドにある他の車の位置との整合性なども、常に通信・分析されている、

したがって、V2X(Viechle 2 Everything)がなければ、AIは進化しないし、精度を上げることもできない。

また、V2Xの世界には膨大な通信が発生するため、5G回線が必須である。つまり、どんなにメーカーが頑張っても、政府が5Gインフラを持った都市開発を進めなければ、優れた認知システムは作れない。

信号機や道路とヴィークルが通信できなければ(もっとも将来信号機は不要になるのだが)、または、異なるメーカーのヴィークル同士が通信できなければ(つまりホンダとメルセデスなどがお互いの位置情報や走行データをクラウドで共有できるようにならなければ)、本当の意味での完全自動運転は実現しにくい。

インフラの上を走行するすべてのプレーヤーが通信すること(V2X)、そのデータ網から漏れないことが認知レイヤーのグレードを決めるのである。

 

③ 意思決定レイヤー

ローカルで統合された最終分析とクラウドからの分析・制御情報が合わさり、意思決定・ルート決定がされ、その後、④ 制御レイヤー (ハンドル・アクセル・ブレーキなど)、⑤ 実行レイヤー (モーター・車輪など)に執行されていく。 

つまり、各種メーカーがしのぎを削るのは大いに結構だが、つまるところ、最高の自動運転とは、特に認知レイヤーにおけるO2O分析、V2X、社会プロジェクトであることを忘れてはいけないだろう。同じ車でも国やインフラが違えば安全度が変わってくるのである。

 

運転が完璧なドライバーでも、信号機が壊れていれば、事故を起こしてしまうのと同じである。

いかに行政が音頭をとり、インフラとして素晴らしいグランド・デザインしていけるのか、しのぎを削るべきはメーカーではなく、国家かもしれない。

 

下記は今年、3月のニュースだが、上海の西側空港の付近にその地区がどんどん建設されているのを間近で見ていると、もうすぐの話だという実感がある。

forbesjapan.com

wired.jp

 

 ー”智能”(チノ)ベーションについてー

“智能”ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

 

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中国が掲げるモビリティ・6つの"0(ゼロ)"【中国スマート・トラフィック】(その2)

前回の続きです。

chinnovation.hatenablog.com

 

次に、資源の重複・設備過剰 "0(ゼロ)"についてお話しします。

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自家用車、マイカーの稼働率は時間換算にしてたったの5%しかなく、大いなる無駄だという国家統計があります。残りの95%は車庫にあり、人を乗せていないのです。

確かに、マイカーを持つ人は、寝ている時間は車を使いませんし、起きている時間、仕事をしている時間、食事をしている時間、買い物をしている時間、友達とお茶をしている時間、すべて車に乗っていないのです。

マイカーを用いる移動時間はせいぜい30分程度ではないでしょうか? そして、その人を乗せている5%の時間のうち、半分は信号や渋滞などで停止しており、走行していないのです。

また、中国にある1.5億台のマイカーのうち、83%は1人か2人しか乗せておらず、31%は自分一人で運転しています。つまり3億の座席が空席、アメリカの全人口がすっぽり入ってしまうほどの無駄なのです。

 

それだけ資源の無駄があり、それをDiDi(滴滴出行、ディディチューシン)などのソリューション、V2X等シェア・エコノミーで解決しよう、という考えを中国政府は持っています。

 

 

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中国が掲げるモビリティ・6つの"0(ゼロ)"【中国スマート・トラフィック】(その1)

中国は、2045年までに6つの"0(ゼロ)"を達成するとしています。

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CO2排出 "0(ゼロ)"

渋滞 "0(ゼロ)"

交通事故 "0(ゼロ)"

石油の輸入 "0(ゼロ)"

資源の重複・設備過剰 "0(ゼロ)"

交通による損害金額 "0(ゼロ)"

 

このうち、石油の輸入 "0(ゼロ)"、CO2排出 "0(ゼロ)"は、中国はすべての自動車をEVカーにし、現在のガソリン車はすべて禁止にする、ということを意味しています。

中国の自動車市場は日本とアメリカを足した総数の1.3倍の規模ですから、そこでガソリン車がなくなるということは自動車業界にとって極めて大きなインパクトとなるでしょう。

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続きます。 

 

chinnovation.hatenablog.com

 


【HUD】モビリティ時代のアップル?美しすぎるチャイナのモビリティ・インターフェース

これが運転中のフロントグラスから見えるスクリーン。

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これなら、スピードメーターやギア、カーナビやスマホに目をやる必要がない、ハンドルが収納され運転席が客席になる完全自動運転(LV5)時代はもちろん、Pre-LV5でも大活躍するだろう。

 

この会社、実は北京とシリコンバレーに拠点を置く中国企業であり、現在、Aラウンドで米ドルにして10億ドル以上を調達している有望スタートアップだ。

 

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“智能”ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

 

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【テンセント】AIリテール最高責任者が語る【世界最先端・智能リテール】とは?

5月上旬に上海で開かれた人工知能ロードショーには、多くの有力スタートアップ企業に交じり、テンセントグループのAIリテール部門も参加し、そのサービスの高い完成度が注目を浴びた。

ここでは、テンセント社の主なサービス内容を紹介する。

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店内行動分析では、顔認識等によりユニークIDを振られた顧客の行動を位置情報に落とし込み、店舗の中でどのセクションがもっともトラフィックが多いのか、どのような経路をたどっているのか等、行動を分析する。

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コンシューマー・マネジメントでは、過去に購買したユーザーを特定し、お得意様として、ショップ店員にその外観、過去の購買記録(別の店舗含む)、およその年齢を表示し、購買可能性の高いSKUをレコメンドする。また、ビッグデータからお得意様とそのSKUに見合った割引などのクーポン権利を店員に付与し、販売をサポートする。

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お得意様の情報が店員のアプリに表示される

セールスチーム・マネジメントでは、顔認識・行動認識により、販売スタッフが1日に何人の顧客を相手にしたのか、そして、レジに同行した顧客の顔IDと販売員の顔IDとがリンケージされ、相手にした客がどれだけ購買につながったのか、リアルタイムでモニターされる。

なお、販売スタッフは店内に長時間滞在することで自動的に顔認識され、クラウドに登録される。

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ディスプレイ&ストレージ・マネジメントでは、欠品状況はもちろん、ディスプレイに不適切な部分(男性用のシューズにレディスが混じるなど)があると、店員にアラートが発せられる。

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セキュリティ関連では、盗難などの防犯はもちろん、幼い子供が大人と離れて行動しているだけで位置情報と行動分析からアラートが発せられ、迷子や誘拐防止ができ、特定地域が混雑し密集しているとAIが判断した場合には、店員や警備員が誘導するように指示が出される。

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【暗闇を走るロボット】中国の最新鋭・赤外線センサー自動運転AI

2018年5月、上海AIロードショーで、赤外線感知AIソリューション・スタートアップ企業を聞いた。

ご覧の通り、真っ暗な中、これだけくっきり見える。補足しておくが、「見る」のは画像解析をするAIであり、人間ではない。ビデオの中でAIがそれぞれ車や歩行者を立体で囲い込みタグを付けているのがわかるだろう。

  

暗闇だけではなく、霧、まぶしい光、など、人間の視界だけでなく、通常のカメラ画像認識を悩ませる環境を赤外線センサーでフォローする。右図が実際のカメラ画像、左図が解析後の画像になる。

この中国のイノベーション企業は、暗闇、霧、対向車のまぶしい光、人間の視界だけでなく、AIの画像認識をも悩ませる環境を赤外線センサーでフォローする。

センサーやカメラだけならどこの国でも作れるが、AIは、ディープラーニング、学習の数がものを言う。データ豊富でAI最高の留学先といわれる中国でプレゼンスを挙げるこのスタートアップがグローバルに赤外線感知AIを牽引する可能性は高い。

 

 

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“智能”ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

 

”智能”ベーションと”有機的”につながるためには、多くの壁があります。プレゼン・資料・チャット・グループなどはすべて中国語で、毎日情報が飛び交うため、英語や翻訳では到底間に合いません。言葉がわかったとしても、PE/VC/AIの知識、中国人起業家・投資家のコミュニティに溶け込むだけの高い経験値が必要になります。

f:id:chinnovation:20180509173358p:plain   著者略歴
齋藤誠一郎(さいとう せいいちろう)1976年生まれ 2000年 東京大学経済学部在学中に起業、多くの日系企業の中国進出コンサルティングを行う。2005年 メディアコンテンツ関連のスタートアップ(株式会社星影通・CINETON)取締役・ 34%株主)、2009年、香港金融グループ(肖建华)傘下台湾日盛証券(日盛金:5820)取締役などを経て、2014年、赛有限合伙SeyhLimitedを設立、中国歴18年、上海在住。英語・中国語・日本語。 (これから2045年頃まで”智能”ベーションとお付き合いしていく覚悟です、ブログをご覧の皆さま、ご関心を持ってくだった方、どうぞお気軽にご連絡ください。)

 f:id:chinnovation:20180511120140p:plain  Wechat : seisaito    f:id:chinnovation:20180511120717p:plain YouTube- Chinnovation-智能ベーション 

   f:id:chinnovation:20180511120147p:plain   Email : seisaito(atマーク)vip.163.com 

元Google・百度の自動運転トップが10億ドルでスピンアウトしたシリコンバレー系中国企業

小马智行(Pony.ai、ポニー・エーアイ)は、シリコンバレーと中国を拠点とする、資本・人材ともに中国発のスタートアップ

小马智行(Pony.ai、ポニー・エーアイ)の創業者は、百度、Googleのコア・リーダーからスピンアウトし、元スタンフォードと清華大学をまたいだチャイナ・エリートたちだ。

晨兴资本と君联资本がシードで、本年1月にセコイア・IDGら7資本がAラウンドに加わり、1.12億ドルを調達している。

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彭军(パンヂュン) 共同設立者 CEO 

清華大学(学士号)を経てスタンフォード大学(博士号)修了後、Googleに7年在籍、Googleでは最高賞にあたるGoogleFounderAwardを受賞。その後、百度にて自動運転アーキテクト担当、技術レベルでトップ階級の”T11”エンジニアとして、無人運転の全体的戦略開発に携わる。

 

楼天城 (ローティエンチェン) 共同設立者 CTO

中国で権威あるコンテスト、Top Coder China Championshipで10年連続優勝、“ACRush"の名で知られる天才プログラマー。Googleでは、Google Global Programming Challengeを2度受賞、Waymoの前身であるGoogle Xで無人車両技術の開発を担当。百度では史上最年少の技術クラス”T10”のエンジニア、無人車両技術委員会委員長を務める。清華大学、博士PhD。

 

2018年5月に上海で行われた同社のAIロードショーに”智能”(チノ)ベーション(筆者)が参加した際のプレゼン映像をいくつか紹介します。

 

雨天、複雑な路上での認知、判断、制御

雨天など状況の悪い環境でも、道路・歩行者・車両・交差点・信号を認知し、意思決定し、制御しています。

 

対向車、歩行者、対抗右折車を総合的に判断しなければならない左折 

 

人間には不可能なレベルの8字カーブ運転 

ビデオでは、Pony.aiは秒速8メートルの速度で、8字カーブを10周以上していますが、この際、一回も標識の柱にぶつかっていません。端的に、Pony.aiの制御の精度がベテランドライバーの水準(人間)を超えていることを証明しています。

 

 

 ー”智能”(チノ)ベーションについてー

“智能”ベーションとは、チャイナ発のAI・ビッグデータ・IOT等領域における、個別の革新技術とそれを応用した先進ビジネス・社会モデルの総称、いわゆるベンチャー(民間企業)のスタートアップにとどまらず、政府民間共同によるPPP等、智能都市・スマートインフラ・先進政治社会モデルを含む。

 

”智能”ベーションと”有機的”につながるためには、多くの壁があります。プレゼン・資料・チャット・グループなどはすべて中国語で、毎日情報が飛び交うため、英語や翻訳では到底間に合いません。言葉がわかったとしても、PE/VC/AIの知識、中国人起業家・投資家のコミュニティに溶け込むだけの高い経験値が必要になります。

f:id:chinnovation:20180509173358p:plain   著者略歴
齋藤誠一郎(さいとう せいいちろう)1976年生まれ 2000年 東京大学経済学部在学中に起業、多くの日系企業の中国進出コンサルティングを行う。2005年 メディアコンテンツ関連のスタートアップ(株式会社星影通・CINETON)取締役・ 34%株主)、2009年、香港金融グループ(肖建华)傘下台湾日盛証券(日盛金:5820)取締役などを経て、2014年、赛有限合伙SeyhLimitedを設立、中国歴18年、上海在住。英語・中国語・日本語。 (これから2045年頃まで”智能”ベーションとお付き合いしていく覚悟です、ブログをご覧の皆さま、ご関心を持ってくだった方、どうぞお気軽にご連絡ください。)

 f:id:chinnovation:20180511120140p:plain  Wechat : seisaito    f:id:chinnovation:20180511120717p:plain YouTube- Chinnovation-智能ベーション 

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  "智能"(チノ)ベーション(=China+Innovation)は、現地起業家・VC・PE・投資家・インキュベータ―等密接なネットワークから得られる最先端の独自ソースを元に、幕末日本を騒がせた黒船のごとく、AI時代の日本を騒がす赤船、チャイナ発のイノベーションの数々を、AI、ビッグデータ、クラウド、IOT、自動運転、V2X、ニュー・リテール等、とくに破壊的なものを中心にご紹介していきます。